トップページ > 卒業生の声

卒業生の言葉

このページでは卒業生の“声”をご紹介いたします。

探偵業について生徒番号1815番

探偵になるのが子供の頃からの夢だったという人がいるけれど、 僕の場合は夢や憧れがあったわけではないので、そういう人たちを 羨ましく思う。

僕が探偵というものを意識するようになったきっかけは、ある晩、 尾行をしている夢を見たからである。一体誰を何の為に尾行してい たのか、詳しいことは全く分からないけれど、僕の内なる奥底で何 かを調べたい、何かを知りたいという強い衝動が突き上げてくるの を感じた。とは言うものの、探偵についての実情や実体については 全くの無知同然であった。それは映画やテレビドラマのフィクション の世界の存在としてしか見ることが出来なかったのである。

一体、探偵とはどんな存在なのか、僕は何を求めて探偵になろう としているのか。

そんなある日、テレビで年末の特番を見ていたところ、深く考えさ せられる出来事があった。それはあるトラックのの運転手が飲酒運 転をしていて、歩行中の少年をはねて死亡させてしまったというと ころから始まった。

運転手は業務上過失致死で書類送検されていたが、拘置される こともなく、自宅謹慎という身であったと思う。

この運転手は飲酒運転というドライバーとしての自覚と責任に欠け る行為で人の命を奪ったにも関わらず、被害者の遺族に対して何の 謝罪もなく、反省の色さえ見せないというのだった。こんな人間に我 が子は殺されてしまったのかという無念さと憤りで腹を据えかねた青 年の父親は、この運転手がどんな人物なのか、本当に自宅謹慎して いるのかという疑惑を自分自身の目で確かめるため行動に出た。それ は運転手の自宅付近の路上で車の中での張込みとビデオ撮影する ことだった。

その結果、この父親の想像どおり運転手は車に乗って外を出回っ ていたのだった。つまり、この運転手には罪の意識が全く無いとい うことが分かったのだった。この事実は数日間に渡って撮影された。 それは後の裁判でこの運転手の人間性を示す有力な証拠になっ ただろう。

一般的に交通事故による処罰は、刑事事件のそれと比較して軽 すぎると言われているが、この父親もそれに対する不満と、無念な 思いで死んだであろう息子に、少しでも報いてやりたいという親と しての情念、あるいは執念がこのような行動を駆り立てたのだろう。

探偵事務所に依頼に来る人たちの多くは、自分で調査できるの なら、そうしたいに違いない。しかし、それができないから依頼に やってくるのだろう。

先のように事故や事件の被害者から調査の依頼があった時、僕 はどれくらい相手の力になれるのだろうか。探偵員は依頼者の心を 読み取り、切望することを理解し、智恵を巡らし、知識を活用し、足 を使って調査し真実を報告しなければならない。そして、それは人 や家族全員の一生を左右しかねない責任重大な任務であることを 日々痛感させられるのだ。

僕はまだ、探偵という職業の本当の厳しさや大変さを知らない。 でも少しずつでもこれを超えていけば、きっとそこに喜びがあるような 気がする。また、なぜ探偵という道を選んだのかという理由もわか るような気がしてならない。いずれにしてもこのような謎に包まれた 探偵員という職業で残りの人生をまっとうできれば、僕の人生は ハナマルと思っている。

指導部よりコメント

この“声”は研究科の卒業生のもので、厳しい訓練を乗り越え探偵術の難しさを身にしみてわかってきた頃に書いていただくものです。

厳しい訓練に耐えたからこそ得ることのできる実感…

当養成所で学び終えた卒業生のほとんどが、探偵業における自らの未熟さを痛感し、また自身の限りない未来を見据えます。

そう当養成所はあなたが真の探偵を目指すための登竜門なのです。

ページトップへ戻る
Copyright(C) Kodama Intelligence Service All Rights Reserved.