― 弁護士実務を支える「現地確認調査」という裏方業務 ―

民事訴訟の実務では、被告の所在が不明となり、書類を送達できないケースが発生することがあります。

このような場合に利用される制度が公示送達です。

しかし実務では、単に「住所が分からない」という理由だけで、公示送達が認められるとは限りません。

裁判所は、申立ての前提として次のような点を確認します。

  • 通常の送達手段を尽くしたか
  • 被告が実際に居住していないか
  • 所在確認の調査が行われたか

特に問題となるのが居住実態の確認です。

この記事でわかること

・公示送達が認められない理由
・所在調査の必要性
・弁護士実務における現地確認の位置づけ

公示送達とは何か

公示送達とは、裁判所の掲示板などに一定期間掲示することで、送達が行われたものとみなす制度です。

相手方が所在不明であり、通常の方法では送達できない場合に利用されます。

ただし、被告の防御権との関係から、公示送達は最後の手段とされています。

公示送達に関連する現地確認調査のイメージ
公示送達は、通常の送達手段が尽くされた後に検討される制度です。

公示送達が認められない主な理由

実務では、次のような理由で公示送達が認められないことがあります。

① 所在確認の調査が不十分

住民票や戸籍附票の追跡だけでは、実際の居住状況を確認したとはいえない場合があります。

② 居住の可能性が残っている

裁判所は、対象住所に居住している可能性が残っている場合、公示送達を認めないことがあります。

③ 客観的資料が不足している

現地状況を示す資料がない場合、申立てが認められないケースがあります。


住民票だけでは確認できない「生活実態」

所在調査は、住民票や戸籍附票の確認から始まることが一般的です。

しかし、これらの情報は現在の生活状況を直接示すものではありません。

例えば、次のようなケースがあります。

  • 住民票は残っているが実際には転居している
  • 長期間空き家になっている
  • 家族のみが居住している
  • 郵便物が滞留している
郵便物の滞留など居住実態確認のイメージ
郵便物の滞留など、生活の痕跡も居住実態確認の材料になります。

このため、公示送達の前提としては、書面上の情報だけでなく、現地確認を含む事実調査が重視されることがあります。


所在調査・居住実態調査とは

所在調査とは、対象人物の居住状況や生活実態を確認する調査です。

弁護士の依頼に基づき、次のような調査が行われます。

現地確認調査

  • 表札の確認
  • 郵便受けの状況
  • 建物の利用状況(ガスメーター・電気メーターの作動状況・洗濯物・駐車車両・自転車等の有無 等)

居住実態確認

  • 生活の痕跡
  • 建物管理状況
  • 周辺状況
所在調査と現地確認調査のイメージ
現地確認調査では、客観的な事実を記録し、調査報告書として整理します。

所在調査については、次回記事でも詳しく解説します。

▶ 第2記事:所在調査とは|弁護士が依頼する住所確認調査の実務


弁護士と調査機関の役割

公示送達の申立てでは、弁護士と調査機関の役割が分かれています。

弁護士

  • 公示送達の申立て
  • 裁判所への説明
  • 住民票・戸籍附票の取得

調査機関

  • 現地確認調査
  • 居住実態調査
  • 調査報告書の作成

このように、第三者調査による客観的資料が、裁判手続きの補強材料となります。

また、所在調査の基礎や現地確認の流れを整理しておくことで、次の実務判断につながりやすくなります。


よくある質問(FAQ)

公示送達はどんな場合に認められますか?

被告の所在が不明であり、通常の送達方法を尽くしても送達できない場合に検討されます。

所在調査はどこまで可能ですか?

法律の範囲内で、居住状況や生活実態など、外形的事実の確認が行われます。

調査報告書は裁判で使用できますか?

調査内容や提出方法によっては、裁判資料として利用されるケースがあります。

住民票がある住所に本人が住んでいないことはありますか?

あります。実務では、住民票上の住所と生活実態が一致しないケースもあるため、現地確認が重要になることがあります。


弁護士・法律事務所の皆様へ

公示送達前の現地確認や所在調査が必要な案件について、ご相談を受け付けています。

  • 所在調査
  • 居住実態調査
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